危険の認知

 先日、ある雑誌の医療事故の記事を読んでいて、二年位前の新聞の記事を ふと思い出した。(医療)事故までに至らなかった”ヒヤリ・ハット”という ニアミスを国公立を含む大きな病院の看護師たちを対象にアンケート調査したものである。その結果「”ヒヤリ・ハット”を仕事中、経験したことのある人はおよそ90%もいた」とする内容で、医療現場は”かくも危険な環境”なのか!?との印象を与える記事であった。
だが残念ながら、この記事は本質を衝いていない。真の危険は危機を危機として、認識している90%の看護職員ではなく、危険に遭遇していてもそれを、「危険なこと」と認識 していない残り10%の側にあると私は考える。”危険の回避はまず、危機の認識から” であり、この記事はその重大な前提を見落としている。「今そこにある危機」を、”危険な行為と認識しない(出来ない)”者への対策が 急務である。

それにはまず、だれがこの”危険を認識しない人物”なのかを選別しなく てはならない。ヒヤリ・ハットの事例が上げられない職員をノミネートし、彼らに問題 提起をし、何が問題なのかを教育していかなくてはならない。それでも改善が見られない場合は医療現場から退席してもらう必要も出てこよう。運転手は危険を感じるからアクセルを緩め、ブレーキを踏むのであり、危険の認識のないものが運転していることの脅威を考えてもらいたい。

危機管理意識(能力)の乏しい、残り10%対策は早急に行われなければならない。

妙 庵 (2004.5.31)