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JR 西日本福知山線から考える医療における安全と効率

100 を超える尊い命が失われて、明らかになる数々の事故要因。ハインリッヒの法則を持ち出さずとも、これまでに幾多のニアミスやヒヤリ・ハット事例があったことであろう。これらの報告を吸い上げる環境が JR 西日本にあれば、今回の事故は未然に防げた公算は大きい。だが、これらが機能し得ない不健全な体質が JR 社内にあったことは容易に想定できる。ミスを犯せば直ちに「減俸」や「日勤教育」などの必罰体制では、現場は萎縮し正直に申告しにくい現象が生じる。これが事故前駅でのオーバーラン事例を車掌と口裏を合わせて過少申告した背景であると考える。ミスの申告は大事故を予防するために必要なことだが、必罰体制下では機能しない。さらに、懲罰を理解する同僚によりミスが隠蔽される環境にあっては尚更である。医療界においても同様のことが言える。ミスを犯せば即、刑事罰になりかねない現状では、同僚のかばいあいを無くすのは難しい。ミスの申告制は“必罰”が目的ではなく“事故の再発防止”にあることを社会が再認識すべきである。

報道によると、直接の事故原因は速度超過による可能性が高いが、そのような行動を取らざるを得なかった運転手の心理背景を見逃すわけにはいくまい。競合する私鉄各線に打ち勝つため、 JR 西日本が採っていた経営戦略は“効率的(可及的)スピードアップと時間厳守”であり、これが本来、最優先されるべき“乗客の安全”と置き換わってしまったことが今回の悲劇の根底にあると言えよう。

速度超過を未然に防ぐ最新の自動列車停止装置 ATS-P 型の設置など、安全確保の方策がなされていたら、悲しい事故は防げたに違いない。収益を重んじ安全対策費を惜しむあまり、設置が遅れたのである。人為的なミスが起き得ない物理的なシステムを構築することが、ひとの命に携わる業種の経営上の責務である。このことは医療業界にも言える共通の課題である。

医療業界を含む第三次(サービス)産業の重要な視点は“信用と顧客(患者)満足度”であるが、一般に患者の“飽くなき満足(利便性)”を追求しすぎると反って、安全が蔑ろになるといった”厄介な問題“が生じる。今回の事故も顧客の利便性を追求しすぎた結果である。日常普遍的にある”漠然とした安全“を”確約された安全“と過信した慢心が JR 社内にあったことは否めない。それは、短時間(スピード)診療での長期日数投薬なども、事故の温床になり得ることと認識する必要があろう。

さて、人命を拘る事故は予兆のない時から想定しておかなければならないが、今の医療現場ではそれが難しい。政府の医療費削減政策により時間的・経済的・人的な余裕がカットされている。諸外国と比べて大きく見劣りするのは医療スタッフの数である。数年前、横浜市立大附属病院で起きた患者取り違え事故の発端は単に、手術室に患者を運ぶ人手が足りなかったことにある。医療事故が多数報道されている昨今、これ以上の医療費削減はさらなる医療事故の温床になろう。医療費を削減し、それでいて「医療の質を上げろ!」は既に限界に来ている。必要な所に予算を充分配することが医療への安全・安心の確保となる。

最後に医療は医学を礎とし、当事者間の“相互理解と信頼”の上に成り立つが、その不確実性ゆえ、絶対安全な医療は存在しない。だから我々医療人はより安全な医療を提供するため、細心の注意を怠らぬよう努めるべきである。
「安全のない所に信頼は生まれ難い」。そして「失われた命は二度と戻らない」。

近年、グローバル(アメリカ)化?と称して医療にインフォームド・コンセント( IC )なる手法が導入され、これが患者の“飽くなき要求(利便性)”に大きな影響を与えている。一部の患者のとめどない要求は時に、医療者に強迫観念の混じった義務感を抱かせたり、行き過ぎた“患者迎合の悪しき環境”を生み出している。この風潮の顕著な現象が“患者様”と考える。聞くだけで見苦しく、嘆かわしい。

さて、あってはならない事態が起きたわけであるが事故が起きてしまった現在、最も大切なことは“適切な再発防止策”が講じられることである。そのための現場検証であり、システム管理や勤務体制の見直し・勤務状況の把握がきちんとなされなくてはならない。
その中に当然のことながら、産業医の果たしてきた働きぶりも検証されねばならない。                  

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