拡張型心筋症とは、心臓の左室が異常に拡大しており、収縮する能力も障害されている症候群を指します。最初の頃は症状がなく、どちらかというと検診で心電図、胸部レントゲンで異常を指摘されて、色々調べた結果診断されることが多いです。

原因はよく分かっていませんが、遺伝、免疫の病気などが関与していることが分かってきているようです。

診断は心臓エコーで左室の収縮力が低下しているのと、左室が大きいという所見にて行いますが、先天性疾患、心筋梗塞、弁膜症などの基礎疾患による二次性の心筋症を除外する必要があり、心臓MRI、冠動脈カテーテル検査、核医学検査などの精査を適宜行う必要があります。

(日本循環器学会他編:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年度合同研究班報告)拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン)

拡張型心筋症は「心不全」と「不整脈」の対応を適宜行なっていく必要があります。

「心不全」としては、進行すると下腿浮腫、呼吸苦などの症状が出現します。また採血検査や胸部レントゲン、心臓エコーでも所見が出るまで定期的にフォローする必要があります。

「不整脈」としては、こちらも進行すると不整脈が出現して、致死的になったり、不整脈が原因で血の塊が出来て脳梗塞などの合併症が出る可能性もあるのでホルター心電図で不整脈の有無を確認して適宜治療をする必要があります。

拡張型心筋症の根本的な治療は心臓移植ですが、基本的には拡張型心筋症がこれ以上進行しないようにする治療が必要になります。具体的にはACE阻害薬、ARB、β遮断薬などの降圧薬、禁煙をベースに、適宜出現した不整脈に対してペースメーカー埋め込み、植込み型除細動器などを使用します。

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